こんにちは。
今回は、大河ドラマ「べらぼう」の1話に出てきた「吉原細見」についてまとめます。
吉原細見とは?
「吉原細見(よしわらさいけん)」は今でいうところのガイドブック、案内書のようなものです。
江戸幕府公認の遊郭であった吉原を訪れる人向けに、「遊女屋」と呼ばれるお店とそこに所属している遊女の名前を記していました。
一口に吉原といっても、そこに店を構えるお店は千差万別です。お店のカテゴリも「遊女屋」「揚屋」「茶屋」など、その役割ごとに呼び名が決まっていました。
こうした吉原のお店を紹介し、そこで働く遊女たちを一冊にまとめたものが吉原細見です。
【吉原細見の主な内容】
- 遊郭内の見取り図
- 遊女の名前やランク
- 料金や習慣など
吉原細見は鱗形屋と山本の2つの版元によって年2回刊行され、後に「べらぼう」の主人公である蔦屋重三郎が引き継いでいます。
吉原細見は160年もの長きにわたって刊行され、日本の定期刊行物としては2番目に長い刊行物といわれています。ちなみに1番は役者評判記という、歌舞伎役者の批評本です。
吉原細見の内容をもっと詳しく
吉原細見の主な内容は「どこに行けばどんな遊女とどのくらいのお金で遊べるか」といったことをわかりやすく客に伝えることです。
遊女の紹介
メインコンテンツと言っても良いのが吉原で働く遊女たちの紹介です。名前、年齢、容姿、特技など、遊女ごとに様々な特徴が記載されていました。
特に人気がある遊女については特集が組まれるなどして詳細なプロフィールや評判などが記載されていたといいます。メディアのやることは今も昔も同じですね。
料金体系
遊女と遊ぶ際の料金は遊女の格によって大きく異なってきます。
吉原でいうと花魁が最上級の遊女として有名ですが、花魁は吉原遊郭当初からのランクではなく、当初は太夫というランクが最上位とされていました。太夫は芸事や教養に優れた遊女で、彼女たちと遊ぶには時に億の金が舞ったといいます。
しかし太夫と遊べるような客はそうそういません。そのため時代の流れの中で太夫というランクはなくなっていき、変わりに最上級とされたのが花魁です。べらぼうでは小芝風花さん演じる花の井が該当します。
吉原内での格付けは時代によって変わるので一律こうですよという話はできませんが、べらぼうの時代であれば、花魁と呼ばれる最上級遊女(呼び出し・昼三・附廻の3段階)から下層の切見世女郎に至るまで、階級別に料金の相場が違っていました。
吉原細見はその相場を滞在時間別に詳しく記載していました。また、今でいうオプションサービスの料金に関する案内もありました。
遊郭内の地図
吉原内の見取り図のようなものです。
どこにどんなお店があるのか、そこにはどんな遊女がいるのかといった情報が盛り込まれていました。
吉原のルール
吉原細見には吉原で遊ぶ際のルールや心得も記されていました。
特に、吉原遊郭は江戸幕府公認の遊郭であるため、そこでの振る舞いには品位が求められます。
吉原細見にはそうした振る舞いに関する情報や禁止事項などが詳しく解説されていました。
まとめ
吉原細見は吉原遊びをする江戸時代の人にとって必携の書ともいえるものでした。
べらぼうでは蔦重がその冒頭部分に平賀源内による宣伝文(広告)を載せようと奮闘します。今ならさしずめ「るるぶ」のような旅行雑誌の巻頭に有名コピーライターを起用して広告宣伝してもらうようなものでしょうか。いや、歓楽街の風俗案内といった方がより似ているかもしれません。
吉原細見は今では江戸時代の文化を知る重要な資料と位置付けられており、べらぼうの放送によって歴史的な価値が再認識されることでしょう。